「G街愛」あるいは「Gスポット」37年史
 第5回(最終回)「G街空間の秘密」
そしてまた「しの」ママ......................................。


こないだの「鯨さし」うまかった。ごちそう様。 (あ、この方なら僕の千倍元気です。)
でもそういや、今も伝統的「G街の母的・元気ママ」文化店つ〜と、「しの」「唯尼庵」くらいかなあ。
お〜っと忘れちゃいけない。「NOV」北海道出身ママこの度の2度目の火災被害、大変でしたね。
でもさあ、ホント「あんびりーばぼ」やったなあ、ママが非G街店「カリフォルニア」にいたなんて!?

(注・同店は都内某所木造スナック街にあり、僕がG街にあやかり、「原宿シルバー街」と名づけた20数年前、美人のデザイナーお姉「ユミちゃん」が始めた店。神宮草野球界の「女性監督」としても有名。後に我々は祖師谷小同期生と判明。ところが彼女、急に入院したと聞いて行ったら、何とそこに、「NOVママ」が「ド〜ン」といたって訳。ユミちゃんがNOVの常連だったんで、たまたま火事被害にあったママに留守を託したそうだ。二人共、早く、現状復帰して下さいね。

あ、そうだ、「◯羅路(わらじ)」(昭和42年6月21日創業)も、前回の火事被害で、あの味のある店舗を、泣く泣く今の店に変わったんだっけ。でも、若い皆さんG街文化の原点を見たいなら、一度ここの2階を見てみてごらん。
山本謙一郎(昭和10年4月19日礼文島生れ)「病に負けじの巻」の新宿文化空間が完成されつつあるぜ。
妻・和子ママ(昭和14年新潟県中蒲原郡こすど小須戸生れ)も頑張ってるぜ。
「亭主とおんなじ吸い方するんだ、男の子ってのはね。」なんて話、若い女の子には勉強になるよ?
被害にあわれたお店の皆さん、ホントに頑張って下さい。

ところで何時だったか、隣席の若い女の子とスカッと気持ちよく盛り上がったことがあったけど、後で誰かに教えてもらったら彼女「吉本バナナ」ちゃんだった!?

「きみぃ、若いのに吉本隆明的発想するね」なんてね、言っちまったり・しちまったりしたもんで、「う〜む?!」考えこんだもんだけど、やっぱ「真横」に女の子にすわられると、まじまじ顔見れないよね。

聞いてみたら「しの」でさえ(失礼!)同じだってさ。 (この場合はモチ、若い男の子)

店をやって初めてわかった「客呑み」と「店呑み」の違いは、話す「相手の顔が見えるか・どうか?」だって。

G街カウンターは「横一線」タイプが基本だから、顔見ない(見えない)同志のおしゃべり空間なんだよね。

でも「プーサン」は、「隣は顔見えず、向い側は顔見え、その他はオボロ」のミックス構造だったから、かなり、特殊な会話空間だったのだ。似てる構造っていえば、博多の大型屋台くらいかなぁ。

そもそも、「新宿・G街呑み」の真骨頂は、誰だって「おばかになれる絶対平等性」にある。
その「平等」=「勝手・気ままトーク」を生む秘密が、横一列・顔見ない空間にあるんじゃないかな。

「絶対平等おばか空間」に、「絶対不平等空間」慣れした有名人が集まって、こと呑みに関しちゃ歴戦の玄人客と入り混り、「博多屋台的」「合コン風」会話する、スリリング性がよかったのよね。

銀座のクラブは「吉原システム」だから、殿様(有名人)持ち上げ担当「花魁」(ホステス)や「太鼓モチ」(編集者)とか、芥川賞でもとりゃ金持ち常連が旦那(支払担当)迄してくれる、有名文化人天国(だった)。

でも、そこの甘ったるさに、モロ対抗してたのが新宿・無産インテリ系「のんべ文化」だった。
「プーサン」は、その中性子戦略をとった訳でしたな。



有名文化人は、こういうとこで「サクッ」「サラッ」と呑めてこそ、本物おしゃれっつ〜ものよ。
無名(貧乏)文化人も一般人も、いつものペースで有名人と呑めてこそ「本物G人」ってことよ。


てな感じの「プー・ C.I(起業理念)」だった。 (今思っても、粋な戦略やったね。)

「永遠の子の街∞G街」の「☆大人G店」、それが「プーサン」だった。

やっぱり「大人やって見せてくれる店」って必要なんだなって思うね。

でも、今やその「プーサン」もなく、その他大変お世話になったオババ様連も皆なくなって、さみしさのあまり「G街通い」を、ふと止めたくなっちまった5年くらい前のことでしたかね。
「Evi」「どんく」「大吉」「HALF」「たちばな診察室」「水の木」「花梨」「ナイチンゲール」「OIL」
「また来て屋」「夢二」「音吉」
など、「新宿文化継承有力候補系店」が続々赤丸急上昇してきたのです。

「ジュリアン・ソレル」「TWIN」(二大ヒロシの店)「三坪」「鳥よし」など二代目店も元気だし、おかげ様で「おじん無名客」として若者系店にもまぜてもらいつつ「G街」に通わせてもらってます。

でもね、僕の若い頃のG街活気が懐かしい。
世代を超え、国籍を超えた、開かれた「おばかとーく」の船時代が、時を超えて懐かしい。
僕のような貧乏で真性おバカはもちろん、有名人・美人・金持ちにも「開かれたG愛」が懐かしい。

だからみんなで「有名人が来る街」=「いい女がいっぱい集まる街」を、再生したいもんじゃないですか!?
モチロン、君たちのためじゃなく、おらの老後の幸福のためなんだけどね。

ほら聞こえ来ないか。歌いながら近づいてくるあの娘の足音が。

♪JR新宿駅の東口出たら
其処はあたしの庭☆歌舞伎町G街
今夜からは処の街で 娘のあたしが女王♀


来なさ〜〜い。俺は待って〜るぜ!


 
 バックナンバー
 第1回「初めの一歩」
 第2回「深海魚」
 第3回「プーさん」
 ?有名人だらけの店?
 第4回「ぷーさんの有名人たち」
 第5回(最終回)「G街空間の秘密」